大型血統のメソトプス系の話題がちらほらあったので、仮説を交えて記事にしたいと思います。
メソトプス属はレギウスとタランドゥスに別れておりますが、文献でインペラトールの記載があり、コンゴ産…つまり今日本に出回ってるタランドゥスはインペラトールで、コートジボワールの方の個体郡がタランドゥスだというものでしたが、今回のこの記事ではコンゴ産をタランドゥスとして書きたいと思います。
1.生息地による野外交雑論
奈良オオクワセンターにWildが500ペア?ほど大量に入り、奈良オオクワガタニュースで売りきれず奈良オオクワガタセンターのオークションで私の記憶だと200ペア程、投げ売りされてました。
その累代品が今出回っているタランドゥスになりますが、奈良オオクワセンター以外での野外品の入荷無かったと記憶しております。
そもそもタランドゥスに関しまして産地がコンゴとしか表記されてないことが多く、コンゴってどっち?コンゴ共和国?コンゴ民主共和国?日本に生体として入ったタランドゥスがこのどちらの国の個体なのかもわかりません。奈良オオクワセンターにWildとして入荷された個体は一体、どちらの国のタランドゥスなのか?調べても答えがでませんでした。
実際、Wildのタランドゥスをネット検索してみると標本の販売でコンゴ民主共和国のラベルの個体を良く目にします。
詳細産地で言えばウガンダ寄りの東部キブ、南部のコルウェジ等の詳細産地が出てきました。
では、実際にタランドゥス含めメソトプスの生息範囲はどこまでなのか?
明確なな分布等は記載されてなく、私の予想としてはコンゴ民主共和国、コンゴ共和国、中央アフリカ、ガボン、赤道ギニア、ルワンダ、カメルーン、ウガンダ、ナイジェリア、ベナン、トーゴ、ガーナ、コートジボワール、リベリア、ギニア、シエラレオネ辺りまで広く分布しているのではないかと思っております。
ここで地理的な話しになってしまいますが、コンゴ民主共和国の西部、コンゴ共和国(いると仮定して)はカメルーンに近く、レギウスの形状をしてるのか?タランドゥスの形状をしてるのか?コンゴ共和国にもメソトプスがいる可能性は高く、コンゴ共和国の個体は日本に入ってるのか?入っていないのか?そこも全くわかりません。
仮にもし、コンゴ共和国とコンゴ民主共和国の西部の個体が入ってたとして、実際その産地の個体がどのような特徴を持っているのか?、どのような素質を持っているのか?、データが無くさっぱりわかりません。
あれだけ広いコンゴ民主共和国ですからボルネオ島のように北と南、西と東では、タランドゥスからレギウスになってしまうなんてこともざらにあり得る話です。
ましてやカメルーンの産地だけが真っ直ぐになるっていうのもそう思い込んでるだけで、実際のレギウスの生息地域も正確にわかりません。もしかするとコンゴ共和国の北部はレギウスになるのかもしれませんし、コンゴ民主共和国の北部、西部もレギウスになるのかもしれません。
個人的に、すごく気になるのは文献でコートジボワールの個体(こっちがタランドゥスになるのかな?)はコンゴの個体と、とても似類しており、なぜ歯形が真っ直ぐになるカメルーン産レギウスをまたいで、コンゴとコートジボワールで形状が似てしまうのか?とても不思議です。
誰かメソトプスをアフリカで採集している方々が日本にいるならば、この辺の話を色々と聞きたいぐらいです。
もし、日本に入ったタランドゥスがコンゴ民主共和国の西部かコンゴ共和国の個体だとしたらカメルーンとの地理的な面からレギウスの素質を僅かながら持った個体がいてもおかしくはないです。
つまり、その産地が日本に入っていたとすれば、タランドゥスとして飼育していてもレギウスのような顎をした個体が羽化してもおかしくないです。
例をあげれば宮崎のヒラタは内歯が中間に付く個体が混在してます。地理的に元々そのような南西諸島チックな個体が生息しており、採集した宮崎産の本土ヒラタをブリードすると親が本土ヒラタタイプだったとしても内歯が真ん中に付くサキシマタイプがランダムで羽化してきます。
シカクワガタもカワノイとチュウゴクシカの混在地域こ貴州省、広西チワン族自治区では黄色い紋が入るチュウゴクシカ、足の黄色いチュウゴクシカが羽化することがあります。
これと同じことがタランドゥスとレギウスの生息境界線では起きて当たり前だと思っております。
このようなタランドゥスの中にレギウスの素質を僅かに持ったタランドゥスが日本に入ってきていた可能性も否定できません。
そもそも顎が長いからと、顎だけでレギウスの交雑と断定されるのはあまりにも安易な考えだと思ってしまいます。
更に、もっと言えば皆さん不思議には思いませんか?
野外から入ってくるレギウスでSLS血統や内歯消滅の個体って入ってきますか?
赤レギウス入ってきますか?
見ませんよね?Wildの標本でも見たことがないですよね?それはそのような突出した個体を何代も掛け合わせて特徴を固定化させて血統化されてますが、そのような特徴を持っているレギウスが実際に野外に存在していなければ飼育品でも出現することはありません。そのような特徴を遺伝子に持っていたけど、累代していく過程で突然出現したからで、Wild品にもそのようなレギウスがいるからこそ、そのような個体が誕生したとも言えます。
タランドゥスにも顎な長い、短い、湾曲が緩い、強い個体がいてもおかしくありません。
虫には個体差があり、絶対がありません。特徴として種のベースの体色、形状はありますが、そこから逸脱した個体も稀に存在します。
また、累代するにあたり顎の長いレギウス、タランドゥスを累代していけば顎の長い個体が多い血統となります。
これはレギウスにもタランドゥスにも言えることです。
ですから…今出回ってる大型タランドゥスがレギウスとの野外交雑かどうなのかという話に関しては答えが出せないというより、答えが無いというのが現状だと思います。
2.詐欺行為による交雑論
初入荷された虫は必ず高額な値段がつきます。
高額な値段故にお金儲けのために偽装行為をする方がどうしても出てきてしまいます。
メソトプスは、野外から入荷された当初は高額な時代がもちろんありした。飼育方法が解明されタランドゥスの値段がペアで7~8万辺りにまで下がったタイミングでカメルーンからレギウスが初めて入荷されその頃にレギウスの値段は25万を越えていたかと思います。亜種間でこのような数年ズレでの入荷により、安くなった種の亜種間の詐欺行為に利用される場合があります。入荷して間もなければ、レギウスの方が当然値段が高くなるわけですからタランドゥスをレギウスと売る輩も当然出てきてしまいます。私が知っている話としましては
●レギウスとしてタランドゥスの幼虫を販売していた者がいた。
●タランドゥスを小さく羽化させて、小型のタランドゥスの♂️をレギウスペアの♂️として付けてタランドゥスのペアをレギウスとして売り付けた方がいた。
です。
大型血統のタランドゥスが交雑と仰るなら、すべてのタランドゥスにレギウスが混ざってる可能性もゼロではないという話になってしまいます。
亜種間で値段に開きが応じると詐欺の犠牲として利用されてしまうのが虫です。
メソトプスだけに限らず、ババオウゴンにも同じことが言えます。ババオウゴンが入荷されて数年間の間にビッターズにモセリをババオウゴンとして販売している詐欺師を何度も見かけたことがあります。
ヘラクレスもレイディやパスコアリ等でおかしな個体を見かけるので、同じことが言えるでしょう。
このような目先の金の為に亜種を偽って金儲けするブリーダーが過去にいたことにより、交雑個体として日本にばら蒔かれたり、知らず知らずの間に累代されてたりして純血の種を保ててない種もいます。
もう沢山のブリーダーの手に渡ってきた虫ですからどこでどうなってるのかは、タランドゥス、レギウスの血統問題はもう調べようがないです。
3.交雑大型論
そもそもタランドゥスにレギウスをかけたから大型化したって言う『交雑は大型になる論』ってなんなんでしょうか?
例えば、ババオウゴンに他のモーレンカンプをクロスさせてモーレンカンプorモセリとして世に出したり、スマトラオオヒラタに本土ヒラタを掛けて本土ヒラタとして世に出せばその論に当てはまるかもしれません。
しかし、レギウスは飼育されてる方々はわかってると思いますが、タランドゥスより体重が乗りません。
体も細く、体長も顎がストレートだから稼げてるようなもんです。
大きくなるタランドゥスに、タランドゥスより大きくならないレギウスをクロスさせて大型化させるという話は矛盾してないかと思ってしまいます。
私が思うにタランドゥスより小さく、レギウスより大きい中間的な存在になってしまうのではないでしょうか?
4.種の特徴を勉強をしよう!
自分で飼育したいと思うタランドゥスを入手し個人個人が目標をもって楽しめれば良いのではないでしょうか?
核心的な結論が誰も出せないこの話題で、一方的に悪く伝えるのもいかがなものかと思います。
これは交雑だと断定するのであれば核心的な証拠や特徴の変化等を誰もを論破できる内容でないと納得させられません。
もし、私が『この個体は交雑だと思います』と、相手に伝えた場合は、その虫を見てきてその種の特徴を熟知した上で、その種では100%見られない核心的な形状変化や体色変化、が見受けられたり、♀️の前足や前胸の特徴が完全にその種と異なる場合です。
ヘラクレスもパスコアリなのかタカクワイなのかつい最近も話題になりましたが、どちらの亜種でも同じような特徴がありますし、ネプチューン原名とローチのように何が違うのかわからない種もいます。
正直調べてわからないことが多いと思いますが、しっかりしたクワガタ、カブトの知識を入れたいのであれば、知識として取り入れたい種が日本に出回ってるのならば、沢山数を飼育する事と、インセクトフェアで標本を見ていただきたいと思います。
野外品からしかわからない事と、飼育してみないとわからない事あります。
野外品からの個体をインラインで飼育をすれば顎のバリエーション、色のバリエーション、体色の配列のバリエーションなど沢山パターンを見れるので様々な知識を得られます。
標本はWild個体が殆どで飼育で型くずれしていないその種のありのままの形状を見ることができます。飼育個体で特徴が云々と言っていても飼育で型くずれしている個体や突出してる血統モノの個体をベースに知識として取り入れてしまうと、認識のズレが応じる場合があります。基準の形状はWild品なので、特徴を知識として入れるなら標本を見て学んでほしいというのが、私から皆様に伝えたい事です。
長くなりましたが、今回メソトプスの私個人の見解を書かせていただきました。
全てひっくるめてまとめますと、野外での自然交雑による遺伝子からの可能性と、詐欺行為によりタランドゥスとレギウスの交雑が生まれ、知らぬ間にレギウスとタランドゥスの交雑個体らしき個体が沢山のブリーダに飼育されることによって広まってしまった可能性があるということです。
今、タランドゥスを本気で飼育されている方にはなんの罪もないと思いますし、交雑をしてなんの特もないです。他者が飼育されているタランドゥスの個体を交雑だと言い切り罵倒してしまっては飼育されている方は良く思いません。
皆様が楽しくブリードできるよう、モラルを持ってSNSで投稿をしてほしいと思います。