ババオウゴニとモセリオウゴンについて

久しぶりに記事を書きたいと思います。

今回は以前触れましたババオウゴンオニとモセリオウゴンオニについて再び書きたいと思います。

去年のビークワレコード号にてタイのカンチャナブリー産の個体が《モセリオウゴンオニ》で登録されており『ババオウゴニオニじゃないの?』と思われていた方々が多いと思います。ショップやオークション等ではタイのカンチャナブリー産はババオウゴンオニとして販売されていることが多く、ショップによってはSSPとして販売されていることもあります。

私もカンチャナブリー産は見た目からババオウゴンとして認識しており、なぜモセリなのかをショップや標本商の方々に聞いてみたところ、タイのカンチャナブリーはモセリオウゴンの最北端の産地になっており、過去にカンチャナブリーから入ってきた標本はモセリに似た特徴があったからとのことでした。

では、本物のババオウゴンオニはタニンダーリ産の個体だけなのか?と思われるとかと思いますが、文献を見るとインド洋に面した独立峰標高700メートルでとられた個体群のみがババオウゴンとして亜種分けされており、タニンダーリ産であっても他の山で採集された個体はババオウゴンではないようです。しかも、ババオウゴンオニが生息している山は非公開になっており、学名に携わった2名のみしか知らないとのことです。

つまり、タニンダーリや旧テナセリウムラベルで入ってきたババオウゴンオニはババオウゴンオニとは言いきれないということになります。

この文献だと、タニンダーリ産で出回っているババオウゴンもタイのカンチャナブリー産と同じモセリオウゴンの可能性があります。

◎ババオウゴンオニとモセリオウゴンオニの食性

以前も記事にしましたがタニンダーリ産とカンチャナブリー産は比較的大きくしやすく、80ミリを越える個体も飼育下で見られます。

しかしながらマレーシアの個体は野外で80オーバーの個体が見つかっておりながら飼育下で80ミリが羽化したという話は聞きません。

飼育下でタニンダーリとカンチャナブリーの産地の幼虫は高カロリーのエサを取り入れられるに対してマレーシアのモセリは高カロリーのエサは取り入れられず、かといって低添加だと大きくもならず、全く掴めない種という印象が強いです。幼虫の頭もマレーシア産の幼虫の頭幅は小さくその時点でマレーシア産の幼虫に餌が合ってないのがわかります。

 

◎タニンダーリ産の疑問

しかしながらタニンダーリ産でも大きくなる血統と大きくならない血統がありますよね?そうなると、過去にマレーシア産の交雑を疑う方が多くいるかと思いますし、過去にそのように悪質に混ぜられてオークション等で拡散されたり、マレーシアの個体をババとして販売されていたということは事実ではありますが、それだけが原因ではない思います。

過去にも述べましたがWF3のババと言われる特徴を持ったタニンダーリの小型個体を購入した際に、その子孫が何世代やっても大きくならないという経験がありました。

その時思ったのは、大きくなる血統と大きくならない血統は全くの別物で、比較したテナセリウム産とタニンダーリ産に比べて個体の艶が弱く、艶がある血統は大きくなるが、艶がない個体は大きくならないのかと疑問に思いました。

その後にファンシーアーズサイト様にお聞きしたところ、やはり艶がある血統は大きくなって、艶が無い個体は大きくなりづらい傾向が高く、テナセリウムとタニンダーリはクロスして混ぜない方がいいとも仰っておりました。

どうしてもこの違いを知りたくて、様々な方にお話をお聞きしましてこのように仮説を立てました。

※タニンダーリと言っても広く北と南では数百キロ離れており国産ヒラタのように産地によって大きくなる産地と大きくならない産地があるり、テナセリウムラベルでの入荷個体とタニンダーリの入荷個体は採集ポイントがかなり離れてる…

※タニンダーリ産で入ってきた個体は様々なポイントで採集されたことにより、大きくならないポイントの個体が混ざってしまった。

などが考えられます。

昆虫は産地による大きさの差が明確に出る生き物で、同種でも産地が違えば大きくなりづらい、大きくなりやすいがあり、その点も非常に面白いです。

※ボイレアウイシカはゲアンの個体よりイェンバイの個体の方が大きくなります。

※メアレーミヤマもLSより西カメンの方が大きくなります。

このようなことがタニンダーリ産のオウゴンオニにあっても不思議ではありませんし、もしかしたら艶がある個体と無い個体は全くの別種なのかもしれません。

※エラフスホソアカとトルンカートゥスホソアカは同所で得られますし、同種とされておりました。顎の根元に紋が無いエラフスは大きくならないと言われ続けられること10年…なんだかんだ別種になったのは2010年頃だったかと思います。

このようなことも昆虫ではおこりえます。

ババオウゴンオニとしてテナセリウムから入ってきた後にテナセリウムからタニンダーリと地名が変わり、表記も旧テナセリウムやテナセリウム産もタニンターリ旧テナセリウムやタニンダーリのみに変更されてしまった方も多く、様々な人にわたっていく中で両産地が混じってしまっておりテナセリウムの特徴、タニンダーリの特徴、カンチャナブリの特徴を現在の飼育個体を見ても正確な回答は出せないです。

ミャンマーの情勢などによりタニンダーリや国境沿いのタイのカンチャナブリーの産地は調査がしづらくまだまだ解明されてないことが多いように思います。オウゴンだけでなく生体で未入荷のレーマンシカもいます。

今後、この産地を調べてくれる方がいるとありがたいですね❗

 

◎ピカールオウゴンオニ

さて、では本物のババとはどの様な特徴があるのでしょう?

残念ながら個体の画像も公開されてないのでわかりませんの一言です。

しかしながら、文献に♂️にはエナメル質の光沢があり、青みがかった特徴は無いと記載されております。

 

このエナメル質で思い出したことがあります。

確か2010年頃だったかと思います。タニンダーリラベルでオークションに出品されており、出品画像を一目見て、他のババとは違う全く違う強烈な光沢を放っている出品個体がいました。Wild直系の個体だったと記憶しておりますが、何故かそのババオウゴンは物凄い高額な値段で落札されていたのを覚えております。

深い黄金の体色にメソトプスやピカールのようなニスを何層も塗ったような光沢で現在のババオウゴンオニには全く見られない個体でした。

そのババオウゴンオニの♀️の体色も特徴も全く記憶してませんが、写真の撮り方云々の問題ではなく圧倒的なインパクトのある個体だったと記憶してます。

このピカールのようなオウゴンオニは本物のババオウゴンだったのでしょうか?それともニジイロピカールのような突然変異なのでしょうか?落札して実物を見てみたかったです。

今回ババオウゴンオニとモセリオウゴンオニに触れて記事にしてみましたが、わからないことが多く何が合ってて何が間違ってるのかわからない事だらけです。

深掘りして昆虫を調べていくと面白い事ばかりでワクワクします。

今後もオウゴンオニの飼育をされてる方はレコード目指して頑張ってください。

 

 

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