ルニフェルミヤマ
ルニフェルミヤマはパキスタン、ネパール、インド北東部、ミャンマー、チベットにかけて分布している金の美毛が美しいミヤマです。
ブータンにも生息していると私は思いますが、ブータンラベルのルニフェルは見たことがないのが現状です。
今回、ルニフェルの亜種による違いと、個体差や、形状が似ているチベットミヤマとの違いについて書きたいと思います。
現在、国内で出回ってるルニフェルミヤマは
◎ネパール・シスネリ産の原名亜種
◎ミャンマー・カチン州のフランシスカ
◎ミャンマー・チン州ケネディーピークのフランシスカ
◎インド・アルナーチャル・プラデーシュ州アッパーシアンのssp
◎インド・アルナーチャル・プラデーシュ州ロースバンジリのssp
といったところでしょうか?
アルナーチャル・プラデーシュ州の個体を今回ssp として表記しましたが、分布を見るとアルナーチャル・プラデーシュ州の個体は原名とされており、フランシスカと言っても良いぐらいフランシスカの特徴をもった形状で、アルナーチャル・プラデーシュ州のどこの産地を見て原名の分布としているかは謎です。
恐らく、今後原名とフランシスカの分布地の改正がおこなわれるかと思います。
さて、ルニフェルミヤマの原名亜種とフランシスカの個体の違いを説明します。
ルニフェル原名亜種は顎の先端にヘラ状の突起がありません。
ルニフェル・フランシスカは顎の先端にヘラ状突起が小さく出現します。
サイズに関しても原名亜種の方が大きくなり、顎の先端もより大きく開く傾向にあります。
また、ルニフェルミヤマはチベットミヤマのように○で囲んだ部分に小歯が出現することはありません。これは原名亜種、フランシスカ両方に言えることです。
●レッドボディー
当方、インド・アルナーチャル・プラデーシュ州のアッパーシアンの個体を飼育しておりますが、個体差なのか?血統的なものなのか?非常に赤いルニフェルが羽化してきます。
アッパーシアンの個体は今のところ羽化した個体全てが顎、頭部、足、腹部に赤身が出ており、非常に綺麗です。
赤っぽい原名のルニフェルはたまに見かけますが、ここまで赤い個体は原名もフランシスカもこの血統以外は見たことはありません。
国産のミヤマクワガタでたまに赤い腹部をした個体を見かけることがありますが、それよりも赤いです。
非常にきれいなルニフェルなので標本で出きる限り残しておこうかと思います。
●亜種間による飼育法の違いについて
原名とフランシスカは亜種関係つまり凄く近い種類ではありますが、この2亜種を飼育をされていた方は疑問に思ったことがあると思います。
ルニフェル原名亜種はマット産みで1♀️から80頭ほどとれることが良くあります。毎年セットを組めば爆産をするミヤマです。
原名と同じセットでフランシスカをセットした場合、良くて40頭で原名ほど爆産する傾向が低く、何故なのか?と疑問に思っていた時期がありました。
この2種は似てるようで何かが違う?未だに私の中で良くわからないミヤマです。
何か少し工夫しないと原名ほど増えないのでしょう!
ミヤマクワガタは奥が深く不思議で面白い種だと思います。
ちなみにルニフェルだけではなく、種ではなく亜種だけが違っただけで産卵セット、幼虫の食性がかわったりするカブトやクワガタが他にもいます。
◎チベットミヤマ
チベットミヤマは亜種間での幼虫飼育難易度や産卵難易度が違ってきます。チベットミヤマの原名亜種は基本的にルニフェル原名と同じ産卵方法、幼虫の餌で大きく育ちますが、ミャンマーカチン州の亜種イサキやベトナムのサパ州の亜種カツラなどは、多産しない傾向があり何か一工夫しないと産卵数が伸びないのでしょう。幼虫もチベットミヤマの原名より熟した餌を好むような傾向があり大きく育てるのはかなり難しいと思います。
◎フライミヤマ
フライミヤマのタイ産を攻略された方はいるのでしょうか?何度挑戦したか?全くつかみどころがないミヤマで私はお手上げでした。しかしながらアルナーチャル・プラデーシュ州から新亜種のフライが入ってきた際に、友人からフライミヤマが爆産したと話を聞き、友人からWF1 のペアを購入しました。見た目はタイ産と何が違うのか?と思うぐらいわからないのですが、当方でも産卵セットを組みましてブリードしてみたところ1♀️から78頭の爆産という結果になりました。似てるようで別物?というのが私の感想です。
◎ヘラクレスオオカブト
ランバージャック様にパスコアリが初めて入荷され、もう何年たったのでしょう?ヘラクレスということもあり、そのうち沢山出回るだろうと思っていましたがなかなか出回らず、当時のビッターズにて入荷から三年後にやっと成虫ペアを購入できまして、ブリードをしてみましたが、28頭と多産せず、とにかく幼虫が溶けるという謎の現象に全滅を覚悟しました。どのような餌が良いのか市販されているマットを試し続ける日々が続き、カブトムシマットに低添加のクルビマットを混ぜた低添加のマットで幼虫が死なないことがわかりまして添加物の入ってない完熟マットを探しましたが、当時は売っておらず、そのミックスした餌で飼育をしましたが、28頭中羽化したのは8頭と残念な結果になりました。ダイナステス属で一番癖のあるパスコアリはブリーダー泣かせのヘラクレスでした。
このように亜種という違いだけで食性が変わることから、産卵セットに使う用品も幼虫餌も変わってきますので、個人個人で色々試して攻略していくのも楽しみの1つかと思います。誰もが攻略できなかったことを攻略できるという達成感は計り知れないものがあるかと思います。
今回、ルニフェルの記事を書いた意図はオークションにてルニフェルミヤマの出品物に疑問を持ったからです。
人は間違えを必ずしてしまう生き物です。私もミスだらけの人間です。
気づかなかった、間違えは仕方ないと思います。
その間違え、ミスに気づいた時にどうするか?その対応次第でその人の今後の運命は大きく変わると私は思っております。
購入する側もその間違えに気づくか気づかないかが重要だと思いますので、購入する虫の知識と自分が加害者にならないためにも販売する虫の知識は必ず持っておきましょう。