セメノウ、シネンシスの定義とは?

今回はセメノウとシネンシスについて書きたいと思います。

今回この記事を投稿した理由としてですが、オークションにセメノウコクワとして『中国 四川省涼山イ族自治州会東県新街鎮上游村』産の個体が販売されているのを良く目にします。私はこの四川省産のセメノウがどうみてもセメノウには見えず、違和感しかありませんでした。

 

私がこの産地のセメノウをセメノウとして違和感を持つ理由としまして2点あります。

1.顎の内歯が四川省、貴州省のセメノウや雲南省のシネンシス原名より大きく開く

2.前胸の形状が四川省、貴州省のセメノウと異なる

という部分的です。

私はこの四川省のセメノウ表記の個体を見た時に瞬時に思い浮かんだのは、シネンシス・コンコロールです!

雲南省北西部の徳欽県シャングリラ~麗江市に生息しているシネンシスの亜種コンコロールはシネンシス原名やセメノウと比べると前胸がなで肩で内歯が大きく開く特徴があります。

正直、私の見解としてですが、この四川省のセメノウとして売られている種はどこをどう見てもシネンシスコンコロールと似類している部分があまりにも多く、逆にセメノウとして扱うのには非常に無理があるのではないかと思ってしまいます。

次に生息地を見ていきましょう

今回の四川省セメノウとして扱われている種は四川省南部に生息していると思われます。

南下すれば直ぐ雲南省になります。

次にシネンシス・コンコロールの産地とされている雲南省徳欽県維西リス族自治県~シャングリラ州と麗江市がこちらになります。

見ておわかりだと思いますが、四川省セメノウとして売られている種が生息地とシネンシス・コンコロールの生息地は近隣しており、四川省涼山イ族自治州会東県新街鎮上游村にシネンシス・コンコロールが生息していても全くおかしくないと思います。

実際、シネンシス・コンコロールとして扱われている標本は顎が短いものが多くシネンシス・コンコロールの特徴ともなっています。しかし48ミリの個体がオークションに出品されているのを見ましたが、その個体を見て考慮しますと、図鑑に記載されてるシネンシス・コンコロールの標本は、ただ単に大型の個体じゃないだけなのでは?と私は思います。

あくまでも今回の記事につきましては私の見解を書かせていただきました。

ゲニ等で判断したわけではなく、形状を見まして、どう見てもおかしくないかと納得がいかなかったので記事にしました。

 

虫は国の境界を関係なく生息しております。

国境は人間が引いたもので虫は国境にしたがって生息しておりません。

つまり、山が国境を超えて繋がっていればどちらの国にも同じ種が生息している可能性が有りますし「ここの産地は原名亜種で〇〇の産地は〇〇亜種になってるから」と決めつけすぎてしまうのもあまり宜しくないと思います。

例を出しますとルニフェルミヤマは日本に出回ってる産地ですとネパールが原名亜種の産地とされていて、インド・アッサム州やミャンマー・カチン州の個体はフランシスカになってます。フランシスカの特徴としては顎の先端がヘラ状になることですが、原名の産地としてインド北東部…アルナーチャル・プラデーシュ州も含まれております。

しかしながらアルナーチャル・プラデーシュ州からの個体はフランシスカだと思われる特徴が見られます。

更に言えばヒペリオンヒラタはインド・ナガランド州、マニプール州、ミャンマー・チン州はイデという亜種になっており、アルナーチャル・プラデーシュ州からの個体がヒペリオンヒラタの原名亜種となっております。しかし、アルナーチャル・プラデーシュ州のロヒットとして出回ってる個体はどこからどうみてもイデ亜種だと思います。ロヒットがインドのナガランド州とミャンマー・カチン州と隣接しており、イデが生息していても不思議ではないかと思います。

つまり、次から次へと新産地が入ってくるが為に、種の分類が追い付いていない、分布地の調査が情勢や国の事情などで行えないかと思われます。

図鑑に記載されてるからと、虫を見ないでラベルの産地だけを見て断定しきらない方が良いと思います。

どんな種でも新産地が入ったら同種なのか亜種なのかをしっかり調べた方が新たな知識として取り入れられることもあるかと思います。

 

長くなりましたが今回は私が疑問に持ちました四川省産セメノウについて書かせていただきました。

ありがとございました。

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