久々の投稿です。
今回は外国産ミヤマの地域変異と自然交雑について書きたいと思います。
昆虫は広く分布している種だと地域によって形状や色が変異する種がいます。
クワガタも個体差や地域変異がある虫ですが、イベントや知人からたまに聞かれますが亜種と種別と地域変異をどのようにして分けているのかと質問されることがあるが、私は標本家ではないので何をベースに分けているのかは明確にはわかりません。
標本家の方がどのように記載されてるのかも私個人としては曖昧なところもあるのかな?と思っておりますし、種類によっては何も違いがないのに亜種分けされてたり、明らかに亜種だろうと思われる種でも地域変異になってたり、この差は大人の事情としか言えないのが現実です。
しかし、1度記載されてもその後に訂正される種もありまして、亜種分けされたり、別種になったり、同種になったりして整理されたりします。
見解は常に変わり、何が正解かを常に導き出すしかないのです。
さて、本題に入りましょう!
◎ナンサーミヤマチックなセリケウスミヤマ
ここ数年今まで入らなかった産地から沢山の野外品のミヤマが入ってきておりますが、面白い個体を見る機会が多く、 中でもベトナムのハザンから入荷されましたセリケウスミヤマがナンサーミヤマチックで非常に面白い形状をしており、去年もハザンの上にあります中国の雲南省からワイルド品が入ってきておりました。

画像の♂️を見ていただくとわかるかと思いますが、顎に丸みがありセリケウスミヤマとナンサーミヤマの両方の特徴を持っています。
顎はセリケウスミヤマ原名のように真っ直ぐ長く伸びることはないだろうと思うし、サイズも行って70㎜半ばだろうと思います。
セリケウスミヤマは
・ベトナム北部➡️原名亜種
・ラオス産➡️オオバヤシ
・タイ産➡️テッシ
と亜種分けされており、中国雲南省とベトナムハザンのこの個体もLucanus sericeus xieyucani Xin, Zhong et Qi, 2025と記載され、セリケウスミヤマの亜種となりました。
生息域も雲南省の南西部、南部ベトナム北部辺りでしょう?
ちなみにセリケウスミヤマとナンサーミヤマは形状からして近縁種なのでしょうが、この形状で安定してるようですし、この種を交雑と捉える方もいらっしゃるようですが、昨年の雲南からの個体と今年のハザンからはセリケウスの原名もオオバヤシも得られてないのと、ナンサーミヤマの個体が得られていないので、交雑種ではなく亜種が妥当だと私も思っております。
◎フライミヤマチックなチベットミヤマ
お次に以前も紹介したかもしれないが、チベットミヤマのフライミヤマチックな個体を紹介します。

この個体は友人がチベット・メンリン産として♀️単を購入し、その♀️から得られた個体です。
ご覧の通り、チベットミヤマにフライミヤマの先端のヘラがある個体です。

※チベットミヤマ・シングラリスが得られる雲南省怒江リス自治州

※過去に入ってきたフライミヤマの雲南省の産地
・徳宏タイ族チンポー族自治州
・西双版纳傣族自治州
この個体について色んな情報を聞きましたが、重慶ラヘルで見たことがある方、シーサンパンナ・タイ族自治州ラベルで見た方もおられまして、もしかするとこの形状の個体は複数の山で得られているのか?とも思います。雲南省のシングラリスとフライミヤマは雲南省西部中部辺りまで生息してると思われますが、山単位でとれる種が変わるとのことですし、シングラリスの多くは雲南省怒江リス自治州から入荷され、フライミヤマは毎度産地がバラツキまして、楚雄彝族自治州や徳宏タイ族チンポー族自治州からも入ってくるので、雲南省に広く分布しているのかもしれません。このチベットミヤマはシングラリスとフライミヤマが微妙に重なる山があって中間的な種が偶然誕生してしまったのか?でも…この二種が交雑するのだろうか?と疑問も持ちますし、この二種は近縁種とは言いがたい種間的な関係性です。
飼育された個体を見ても、種間交雑でこのような形状をしているのではなく、フライミヤマチックに偶然進化してしまっただけなのかもしれません。
チベットミヤマは
・ベトナム北部のフルキフェル
・ミャンマー北部のイサキ
・中国雲南省のシングラリス
・中国四川省の原名亜種
の4種類にわかれてますが、実際中国の貴州省からも得られてるようで、亜種で言うとフルキフェルなのかな?ビークワのミヤマ特集を見るとフルキフェル感強めのように感じます。
細かいことを言うと、ベトナム亜種のフルキフェルのサパとイェンバイのフルキフェルミヤマは少し違う印象があります。イェンバイのフルキフェルはラオス側のフルキフェルと非常に似ているような話を聞いたことがありますが、ラオスラベルは入荷されませんし、ラオスラベルは1個体しか見たことがなく何とも言えません。
(チベットミヤマの亜種の特徴はビークワのミヤマ特集号を見ていただきたい)
今現在、このフライチックなチベットミヤマは亜種分けされてるチベットミヤマのどの亜種にも当てはまらない特徴があり、全てこの形状で羽化してきてる事から、今後このチベットミヤマがどのように記載され扱われるのかも楽しみです。
残念ながら、チベット・メンリン産として入っては来ましたが、高い確率で産地が変えられてるかと思います。
チベットミヤマという名前になってますが、チベット産のチベットミヤマは見たことがなく、恐らく生息していないと思われます。
では、『なんでチベットミヤマなの?』と思いますが私にもわかりません(笑)
ちなみにフライミヤマはアルナーチャル・プラデーシュ州、雲南省、ミャンマー北部、タイ産が生息地で、ラオスにも生息しているという情報もあります。
フライミヤマについて「タイの原名亜種との違いは?」と聞かれるとなにも違わないように思うし、恐らく原名亜種とシェパンスキーも形状に明確な違いがあるとかではないかと思われます。
数をとって見比べてみたいのですが、アルナーチャル・プラデーシュ州のシェパンスキーは数は得られるものの、タイの原名亜種は今まで何をしても幼虫がとれない難関種でもあります。
タイのフライミヤマ原名亜種の産卵難易度はカンターミヤマ並みかと思われます。
アルナーチャル・プラデーシュ州の個体は以前ワイルドを購入し、簡単に沢山の幼虫を得られましたので、産地が違うだけでこんなに難易度が異なって、アルナーチャル・プラデーシュ州産が、なんでこんなに簡単なのかとビックリし、タイのフライミヤマが何故産まないのか余計にわからなくなりました(泣)
私の購入したフライミヤマの子孫は順調に羽化して複数の♂️並べてみましたが、♂️の歯形で2頭だけ顎が真っ直ぐな個体が羽化し、友人にお聞きしたところ顎の形状変異だけでなく頭盾があまり開かない個体と大きく開く個体がいるとのことで、標本商の方にもお聞きしたところ、アルナーチャル・プラデーシュ州の西カメン産のフライミヤマは個体差が大きく、野外品でも顎が張り出さない個体と、張り出す個体が存在し、頭盾の開きに個体差が出るなど形状にバラツキが見られるとのことでした。
◎中間種の疑いのあるその他のミヤマ
eBayで見てるとラオス産のキクロマトイデスとフォルモススミヤマの中間種的な個体を何個体か目にしましたが、そもそもこの二種はややこしくてこの二種がくっついてるような個体が存在するとなるとなぞだらけで…ベトナム側でも得られるのではないかと思ってしまいますが、ベトナム側で得られたという話は聞きません。とれる山や産地が違うからでしょう。
トルコ~中東には複数のミヤマが生息しており、特に小型~中型種のずんぐりしたミヤマが複数生息しております。
ブシグニー、ラティコルニス、イベリクス、マクロフィルス辺りが有名ですが、この辺りのミヤマは種類の数が多く、治安の問題もあり、なかなか調査が行えないので良くわかっていない部分が多いようです。
種間の交雑も発見されてるようで、フィードラーミヤマという種が居ますが、形状的にブシグニーとラティコルニスの中間種ですので、現地では交雑種として扱われてるようです。
ジョージアの方でもケルブスと中型種の何かのミヤマの種が交雑してるようで、良くわからない種が見つかっているようですし、中東の中型ミヤマは種がいすぎて、種間交雑するとなるともう種の分けようが無くなりますね(笑)
◎ミヤマの森単位でのサイズアベレージの変化
日本のミヤマは宮崎、熊本、北海道の産地が大型になると言われておりますが、外国の場合州や町単位ではなく、雑木林単位でサイズアベレージが変わるようです。
本当に不思議ですよね…
例えばトラキクスミヤマですが、この種は私個人的に大きくならないラティコルニス的な種だと思っておりましたが、今出回ってる血統は75ミリを越えてくる大型で、非常にびっくりしました。トルキクスミヤマも森単位でサイズアベレージが大きく変わるみたいで、私が思うにあまり広範囲に移動しない種のように思います。
次にアクベシアヌスミヤマですが、100㎜を越えるアクベシアヌスミヤマはトルコのアンタルヤが産地と言われておりますが、近年ムーラ県のフェトヒエからのアクベシアヌスミヤマを飼育してみると、本当に大きくならない(涙)
どうも85㎜辺りに壁があるように思います。
ユダイクスミヤマも地域で大きくなる、ならないがあるのだろうかと思ってしまいます。
ケルブスミヤマも森単位や国でサイズアベレージに差があるようですので、いろんな産地のケルブスミヤマを飼育してみたいです。
さて、推測と憶測だらけの記事になってしまいましたが、クワガタの地域変異や自然交配のは本当に面白く、人が亜種や種に分けきれない種も多くいるのが現状です。今回とりあげたミヤマクワガタ以外にもドルクスは特に深く考えると面白く、sp ssp表記が沢山ついており、ティティウスヒラタ系ライヒヒラタ系は沢山の種が生息しております。
ドルクス系も自然交雑すると非常に厄介になりますが、様々な個体の標本をコレクションするのも楽しいでしょう。
以上!